ドイツ財務省が策定を進めている2021年度の予算案で、財政赤字が800億ユーロ以上に上る見通しだ。新型コロナウイルス危機からの経済回復を引き続き後押しする必要があるため。関係者の話を元に、ロイター通信などが３日伝えた。
それによると、ショルツ財務相は、メルケル首相率いる連立政権に、初期の来年度予算の見積もりを提出した。財務省は近く、21年度の税収見通しを更新し、９月末までに予算案をまとめる計画。赤字額はさらに拡大する可能性もあるという。財務省は報道についてコメントを控えている。
ショルツ財務相はかねて、今年と来年は新型コロナ危機に対処するための予算を組み、22年に通常化する意向を示している。独政府は先に、新型コロナウイルス危機の影響緩和を目的とした一連の対策の実施期間延長で合意。最大で100億ユーロを追加拠出することが決まった。ドイツ経済はこうした刺激策も貢献し、回復基調にある。
新型コロナを巡っては、政府は３月、感染拡大の影響を緩和するため、総額7,500億ユーロ超の支援策を発表。財源の確保に向け、７年ぶりに新規国債を発行した。６月には総額1,300億ユーロの追加刺激策を打ち出しており、国債を追加発行。ドイツは14年以降、財政黒字が続いていたが、20年は対国内総生産（ＧＤＰ）比7.25％の赤字に転落する見通しだ。
なお、中銀のドイツ連邦銀行はこの日、債務の拡大が一時的なものであれば、財政上の問題はないとの見方を示した。連銀はドイツの公的債務残高が対ＧＤＰ比で、昨年の約60％から今年は75％に膨らむと予想している。